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06 崔洋一監督 『カムイ外伝』

【PROFILE】
崔洋一
1949年生まれ、長野県出身。83年『十階のモスキート』で劇場映画監督デビュー。その後、『月はどっちに出ている』(93)で53にわたる映画賞を受賞し、一躍脚光を浴びる。主な監督作品は、『クイール』(03)、『血と骨』(04)など。

【PROFILE】
崔洋一
1949年生まれ、長野県出身。83年『十階のモスキート』で劇場映画監督デビュー。その後、『月はどっちに出ている』(93)で53にわたる映画賞を受賞し、一躍脚光を浴びる。主な監督作品は、『クイール』(03)、『血と骨』(04)など。

(c) 2009「カムイ外伝」製作委員会
映画『カムイ外伝』は、札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌で公開中

(c) 2009「カムイ外伝」製作委員会
映画『カムイ外伝』は、札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌で公開中

現在の日本映画の最高峰と言っても過言ではない、超大型アクションエンタテインメントが誕生しました。その名も『カムイ外伝』。主演に松山ケンイチさん、脚本に宮藤官九郎さん、そして崔洋一監督といったこれ以上ない豪華なメンバーが、スクリーンに熱狂と興奮を届けてくれるのです。今回はキャンペーンで来札された崔洋一監督に単独インタビューを敢行、本作に掛ける熱い思いを伺ってきました。

 

 

―原作は白土三平さんの大人気忍者コミック。この作品を実写映画化しようと思ったきっかけを教えてください。

 

5年前『血と骨』を撮り終わった後、ちょっと空っぽになってたんですよ。とてもハードでヘビーな仕事だったから。それもあって、じゃあ次回作はどうしようってプロデューサーと話してても、なかなか良いアイデアが生まれなかったんです。そうしたらあるときプロデューサーが、「『カムイ外伝』はどうですか?」って。もうそのひと言で「それだ!」って決まりましたね。僕自身、少年期から青年期にかけて夢中で読んでいた作品だったので、いまこのタイミングで映画になるというのは、オーバーに言えば時代が押し出したんじゃないかなって。

 

―マンガのアクションシーンを実写化するにあたって、やっぱり色々悩まれたのですか?

  

実はあんまり悩みませんでした。非常にアクロバティックに、なおかつ科学的に忍者を分析しているマンガなので、これはやりがいがあるなとは思ったんですけど、困難だとは感じなかったんです。というのも、僕がこの作品をやりたいと思ったモチベーションのひとつに、CGにばかり頼るのではなく、なるべく生身の人間でやりきろうと思ったということもあって。忍者はある種スーパーマンですから。それを人間の力でどこまでできるのかなっていう興味の方が強かったんですよね。

 

―スタントマンもあんまり使わなかったそうですね。

 

結果としてはそうなります。スタントを使って吹き替えで撮影したシーンもあるにはあるんですけど、結果的にはほとんど使用しませんでした。スクリーンに映っているほとんどが役者本人。だから役者たちはかなり大変だったと思いますね。アクション慣れしている伊藤英明でさえ、「ハードすぎて、肉体的にも精神的にもギリギリのところまで追い詰められた」って言ってましたから。

 

―それでも生身の人間のアクションにこだわった理由とは?

 

こういうアクション映画って、VFXだけに頼ってしまうと、映像的にはなんでもできてしまうんですよ。だけどそれをやってしまうと、僕の中で"なんちゃってカムイ外伝"になってしまう。それだけは絶対に避けたくて。オリジナリティを持ちながらも原作に沿うという、僕なりの工夫も観て頂きたかったし。だから大変だけど俳優たちには肉体を駆使してもらおうという方針をとったんです。DVD化されたときに1コマずつ観てもらっても大丈夫。ほぼ本人たちですから(笑)。

 

―アクションはもちろんですが、主人公のカムイが成長していくところも作品の見所なのかなと思いました。

 

カムイは強すぎるが故、忍者が嫌になって逃げているわけだけど、人間としての心の弱さも持っているんですよね。大後寿々花演じるサヤカの純愛を悩みながらも受け止める人間的な優しさを。でもその優しさが次の事件を呼び寄せてしまう。そういう意味でも、カムイは完全無欠のスーパーマンではないんです。ご指摘の通り、それが彼の成長ですよね。成長っていうのは強くなるだけじゃなくて、弱い部分も出てくるという。少年時代に悩まなかったことを青年時代に悩むことがあるし、それらを解決する力っていうのは度合いが深くなっていくものだし。成長と共に自分の弱さも露見するっていうのかな。それらが複雑に混ざり合う過程にいると思うんです。カムイは一本気な少年的な心と、傷つきやすい青年の内面があって、でも戦わせると強いという矛盾も持っている。その矛盾がこの物語を引っ張っていく映画にしたかったんです。同時にアクションシーンは、緊迫と血湧き肉が踊るようなものを目指して。欲張りといったら欲張りなんですけどね。

 

―そんなカムイ役を演じたのが松山ケンイチさんです。

 

脚本をクドカン(宮藤官九郎)とやることに決まった瞬間、僕の頭の中のイメージで、完全にカムイ役は松山ケンイチに固まったんです。それをクドカンに言ったら、彼も「いい!」って言ってくれて。もちろんこの時点ではケンイチはそんなこと知らないんですよ。でも、もしケンイチがこの映画に出ないって言ったら、映画自体を延期する覚悟がありました。それくらい彼しか頭になかったんです。絶対に口説いてやるぞって(笑)。いま思うとケンイチも何か予感してたんじゃないかな。オファーしたら、すぐに「やる!」って言ってくれましたから。

 

―松山さんもアクションシーンは苦労されていたんじゃないですか?


彼は元々アスリートですからね、運動神経は良かったんですよ。ただそれと忍者アクションは全く違う。そこはものすごく大変だったと思いますよ。でも足かけ1年の訓練を経て、彼の走りはすごくセクシーで疾走感を持つものになったし、アクションにもしなやかさが備わりましたね。 

 

―先の話にも出ましたが、脚本は宮藤官九郎さんとの共作です。作業はどのように進んだのですか?


1年半くらい2人で悩みましたけど、結局ぐるりと一周して原作に近い脚本が上がりましたね。でも決して悩んでいた時間が無駄だったということではないんです。その間にクドカンが、原作に寄り添いながらも原作とはちょっと違う、独特のカムイ像を作ってきてくれて。カムイは現代の10〜20代の青年たちが持つ苦しみや悩みを、同時に抱えているわけですよ。それは彼の筆がないと描けなかったんじゃないかなと。そこがクドカンの魅力で、要は異端なんですよね。だけどその異端がトレンドになって、そのときには彼はまた違う場所に行っちゃってる感じ。そんな奇想天外な部分がすごく好きですね。だからそういう要素も持ち込みたかったんです。例えば原作に沿いつつも全く違う世界を描いてみたりね。それは最初の頃に手掛けたものなんですけど、めちゃくちゃ面白いの。でもね、残念ながら5時間くらいの映画になっちゃうのよ(笑)。それじゃあ商売にならないねえって(笑)。

 

―長い期間と力を注いだ作品だからこそ、完成したものを観たときは様々な思いが溢れてきたのでは?


そうですね、もし今までと何かが違うとしたら、撮り足りていないという感覚があります。撮影が終わっていない感覚というか。

 

―それは、もっとこういうシーンも撮りたかったという意味で?


それもありつつ、永遠に撮り続けていたいという気分かな。非常に抽象的な言い方なんだけど、そういう気分がずっと続いているんですよ。だからお客様の支持があれば、2部、3部と続けていきたいなって。そしてもう気付いてる方も多いと思うんですが「カムイ」という言葉はアイヌ語なんです。でも今作の舞台は北海道じゃない。ということは、いつか北海道を舞台にカムイを撮るのは必然です。それだけは申し上げておきます。

 

―それでは最後に読者にメッセージをお願いします。


まずは忍者アクションを楽しんでください。そしてこの物語をしみじみ受け止めて欲しい。とは言っても、深刻な意味ではなく、男も女も老いも若きも、一度カムイの視線に立ってもらいたいんですよ。もし自分がカムイだったら...って。そうすると、興奮の度合いも変わるし、ある場面では涙が一筋流れたりもするだろうし。客観的に観るよりも、ご自身で体感しているという感覚で観てもらえると、より一層この作品をドラマティックに受け止めてもらえると思います。

 

 

映画『カムイ外伝』は、札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌で公開中

 

【STORY】

忍者・カムイ(松山ケンイチ)は、真の自由を求め忍の世界を抜け出す。しかしそれは裏切り者=抜忍として、追っ手と戦う運命を背負うことでもあった。ある日、漁師・半兵衛(小林薫)を助けたことから、その家族に迎え入れられることになったカムイ。偶然にも半兵衛の妻は、かつて抜忍となったスガル(小雪)だった。そうして半兵衛の娘サヤカ(大後寿々花)と心を通わせ、穏やかな日々に幸せを感じるカムイだったが、忍群はすぐそこまで迫ってきていた...。

 

原作:白土三平

監督・脚本:崔洋一

脚本:宮藤官九郎

出演:松山ケンイチ、小雪、大後寿々花、伊藤英明、佐藤浩市、小林薫 他

 

カムイ外伝 official web site >>> http://www.kamuigaiden.jp

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